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テレビアニメ「デジモンアドベンチャー」角銅監督からのスペシャルコメント!![TVアニメ「デジモンアドベンチャー」で監督を務めた角銅博之監督には、PSP「デジモンアドベンチャー」では、音声収録で演出としてご協力頂きました。ファン必見のスペシャルコメントを是非ご覧下さい!!]

2012年の春のある日、どかんと分厚い台本が届きました。
『デジモンクロスウオーズ』最終回近辺の放映のあとで、
ああ、これでデジモン関連作業は終わったなあなんて思ってた頃。

ところがそうではなかった。
終わりどころか、またはじまるところだった。

これまでにも最初に『デジモンアドベンチャー』『〃02』が終わった時、
小説版を書き上げて後書きを書いた時、
あるいは『テイマーズ』を経て『フロンティア』が終わり4作品合同の打ち上げの時、
『DIGITAL MONSTER X-evolution』を作り終えた時、
それぞれにこれで終わったと思ったもんですが。

届いた台本はもちろんPSP『デジモンアドベンチャー』のもの。
そしてそのタイトルに偽りなく、テレビアニメ全54話プラス劇場版をまるごと収録とは!
今回はその録音演出と少し監修めいたことをやらせていただきました。

今はこれだけの音声を全部収録できるんだ、なんて感心してるヒマもなく、録音が開始。
これが大変ですよ。
1年1ヶ月に渡る番組の内容を短時間で追体験。
できるだけ当時のオリジナルキャストにおねがいして。
8人の子供プラス8体のデジモンだけでなく、数話以上に渡って出たゲストもできるだけその人で。
当然同時に集まって収録なんて出来るはずもないので一人ずつ別々の録音となります。
総勢約50人、総録音時間70時間は超えてたはず。

その物量よりも、はたして個別の収録で演技が成立するのかな、と密かに心配していたのですが、
それが全くの杞憂。
一度演じた役の台詞は、その芝居は、頭でなく何か別のところで覚えているものなのでしょうか。
レギュラーだった方たちは当時の演技を細部にわたって見事に再現してくれました。
声優は引退して、マイクの前に立つのは久しぶりという人も数人いましたが、いやもうぜんぜん大丈夫。
当時そのままなのはレギュラー陣だけではありません。
ゲストの人達、ウィザーモンもエテモンもヴァンデモンもピノッキモンもピエモンも!
もちろん平田広明さんのナレーションやゲンナイさんも!
これがゲームとして出るのならば、まさにあの世界をそのまま追体験できるものになるでしょう。

ただ、いろんな事情でどうしても当時の人にお願いできない役もあり。
レギュラーではタケルがそうでした。
では誰にお願いするのか。
いろんな候補の名前が出る中、基準のひとつは「今初めてこの番組を作るとしたら誰がいいだろう」
もう一つは「それぞれの場面を説明しなくてもわかってくれてる人」
それはとりもなおさず「デジモンアドベンチャーが好きだった人」ということでもあるのですが。
条件にぴったりなのが『クロスウォーズ』に出演してた潘めぐみさん。
子供の頃に『デジモンアドベンチャー』をいかに熱中して見ていたか、
そのキャラクターの太一たちと最終回近辺で共演してどんなに感激したかを聞いていたからです。
ものまねを求めているわけではないので、無理に似せなくていいですから、
とだけ打ち合わせて臨んだ収録当日。
そこに見事にタケルがいました。
それはタケルだけでなくやはりどうしても他に人にお願いしなければならなかった他の役でもそうで、
そこにいるのは紛れもなくデビモン、ピッコロモンでした。
それをどなたにお願いしたのかは後ほどの発表をお待ちください。

声を収録した時点ではまだ実際のゲーム映像はほとんど見てなかったので、
今この公式サイトに画面があげられるたびに驚き、喜び。
なんという再現性の高さ。ゲームスタッフの本気と熱意。
いやそれはあの分厚い台本の時点で充分わかっていたことではあるのですが。
この映像があの声とともに動き、その場面を操作できるなんて。
テレビ放映当時子供だったひとはゲームの完成が待ち遠しいでしょう。
が、最も楽しみにしてるのは他ならぬ自分ではないかと思います。

またあの冒険が始まる、その日まであと数ヶ月。
わくわくしますね。
あ、その前にPSP買って準備しなくちゃ。

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